TensorART での inpaint(インペイント)の使い方を解説します。
inpaint は Img2Img の機能のひとつで、マスクという部分的に指定した場所の修正・変更を行うことができるツールです。
【inpaint でできること】
・マスクした部分を修正する
・マスクした部分に変更を加える
生成画像の一部分だけ変な絵になってしまった時の修正や、生成画像の一部を違うデザインに変更したりできます。
ただ、修正といっても万能ではないため、例えば「崩れた手を直す」などは、なかなかうまく直らないですが、デザインの変更に関しては「inpaint」は、けっこう使えるツールになっていると思います。
注意点として、現時点では「TensorART で生成した画像のみ利用できる」みたいで、他の画像生成ツールでの生成画像ではエラーが出てしまいます。
では、実際に画像で使用例を見ながら説明していきますね。
スポンサーリンク【inpaint 使用方法 手順】
inpaint では、修正・変更をしたい部分を、黒く塗りつぶして「マスク」をします。
マスクされた部分に変更が加わるため、それ以外の部分を変えずに画像生成ができます。
今回は使用例として、こちらの人物画像を「元画像」として使っていきますね。
コートを着た金髪ロングヘアの女性が、雪が降る夜の街にいる画像です。
プロンプト:
best quality, masterpiece,best quality, masterpiece, Ultra detailed, insanely detailed, beautiful, 1girl, Blonde, long hair, bangs, long coat, cityscape at night, snow falling, neon lights shining, onry upper body,
ネガティブプロンプト:
EasyNegative,low quality,worst quality,out of focus,nsfw,text, watermark, letters, numbers,
◆inpaint で髪色・髪型を変える
画面はスマホ版ですが、PCでも同様の操作で使用できます。
1.inpaint を使うには、まず、ワークスペースで「Img2Img」タブに切り替えます。
続いて「inpaint(インペイント)」の部分をタップします。
「タスクから画像を選択」をタップして元画像をアップロードします。
2.「マスク筆のサイズ」を調整して、画像内の変更したい部分を黒く塗りつぶしていきます。
今回は、髪を変えてみたいので、「髪の部分をマスク」していきます。
マスク筆のサイズは実際に、塗ってみないと太さがわからないので、塗りながら調整していきましょう。
3.一度だけ戻したいときは「Undo」を、最初からやり直したい場合は「リセット」をタップしてください。
髪の部分をこのようにマスクで塗りつぶしていきます。マスクする範囲はぴったりではなく「少し大きめ」がよいと思います。
マスクできたら「確認」をタップしてください。
4.元画像が TensorART で作成されたものなら、inpaint 用のプロンプト欄とネガティブプロンプト欄に自動で、元画像のプロンプトが挿入されます。※TensorART 以外で作った画像は生成時にエラーが出てしまう。
今回は、プロンプトの「Blonde,(金髪)」を「red hair,(赤い髪)」に書き変えてみます。
5.モデルとVAEを選びます。元画像と同じものが無難。
表示されていない場合は「右上のアイコンをタップして表示」してください。
6.「デノイズの強さ」は、強くすると元画像とは異なる変更が加えられます。 ただし、逆に弱くすると変化がなくなってしまうため、ある程度の強さは必要です。
今回は「0.7」にしてみました。「生成」をタップしてください。
7.金髪から赤い髪になった女性の画像が生成されました。髪の部分以外はそのままなのがいいですね。
8.今度は、金髪のまま、ショートカットにしてみましょう。元の画像がロングヘアなのでプロンプトに強調指定を加えてみます。
(short cut hair:1.2),
うまく、ブロンドのショートカットになりました。
9.次はポニーテールにしてみました。こちらもまあまあ仕上がりになりました。
ponytail,
inpaint は元画像からかけ離れると、うまくいかないため、「髪色を変えるのは得意」ですが、「髪型を大きく変えるのは、やや難しい」ようです。
うまくいかない時は、マスクの範囲、プロンプトで調整してみてください。
◆inpaint で表情を変える
次は表情を変えてみましょう。上記と同様の手順で「目と口」をマスク筆で塗りつぶします。
laughing out loud,(大笑いしている)と書き加えてみました。大笑いとはいきませんが、しっかり笑ってくれました。
目と口をいじるため顔の印象は変わりますね。印象を変えずに表情を変えたい場合は、inpaint ではなく、IP-Adapter や ADetailer での表情変化などを使ってもよいかと思います。
◆服装を変えてみる
せっかくなので、服装も変えてみましょう!雪が降る夜の街ですが、水着に着替えてもらいましょう。
服をマスクして、プロンプトのロングコートを消して、swimwear, bikini,(水着、ビキニ)と書き直して生成します。
水着にはなってくれましたが、コートは脱いでくれませんでした。「雪が降る夜の街」というプロンプトも影響していると思われるので、その辺りを消すか、背景を海にするとよいかも?(それだと別画像になってしまうのでやりませんが)
次に、(maid costume:1.3) と指定して、メイド衣装に書き直して生成してみました。
やはり、元画像から大きくデザインが変わるものは、inpaint だけだと生成が難しそうです。これ以上、プロンプトを強調すると画像が破綻してしまうため、これでもコートからメイド衣装への変更はよく描けているほうだと思います。
どうしても服装だけを変えたい場合は、Lineart で元画像を加工しつつ、Text2img でプロンプト調整するほうが手っ取り早そうですね。
【まとめ】
TensorART での inpaint の使い方を解説しました。
Stable Diffusion の inpaint と同じ仕様です。Stable Diffusion で inpaint を使う場合は、もうひと手間かけて細かい調整ができたり、Control Net を使ったりできるため、若干ではありますが物足りない感じもします。
とはいえ、単体でも十分に高性能なツールだとは思うので、TensorART の inpaint は部分修正などでも活躍してくれそうです。
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