TensorART で、Control Net の Lineart(ラインアート)の使い方を説明します。
Lineart の使い道は、主に3つ。
◆画像の雰囲気を変える = カラーのイラストからプロンプトを追加して、部分的に色を塗り替えたり、似た別の画像を描きます。
◆イラストから線画を抽出する = イラストや写真から線画(黒背景に白い線)で描かれた画像を作ります。
◆線画からイラストを作る = 手描きイラストやカメラで撮ったスケッチなど「線画で描かれた画像」を取り込み、色を塗ります。
似たような Control Net に Canny(キャニー)があり、同じような使い方ができますが、Lineart は より線画抽出が目的のために使うツールかと思われます。
今回は、TensorART の Lineart の使い方を目的別に説明していきます。
スポンサーリンク【Lineart の使い方】
TensorART ウェブサイトをスマホ画面で操作説明していきます。使い方がわからないひとはまず、TensorART 使い方を読んでみてください。
※ローカル環境での Stable Diffusion Web UI や他の画像生成サービスとは操作が異なりますが、使い方の参考にはなるかと思います。
TensorART の Lineart は「Lineart」と「Lineart Anime」のふたつが用意されています。
前処理器(プリプロセッサー)は、Lineart(4個)と Lineart Anime(2個)のふたつ合わせて6個あります。
元画像から、前処理として「線画」を抽出し、そこから画像生成を行う流れになっているため、
どの前処理器でも、「画像からの画像生成」と「線画画像の色塗り」ができるようになっています。
ただ、人によって使い道が異なるため、「Lineart か Lineart Anime か?」というより、目的に応じて「前処理器で選ぶ」のが好ましいです。
《元画像から線画抽出→画像生成》
参考程度になりますが、同じ元画像から「抽出される線画」と「生成結果」の例をみていきましょう。※基礎プロンプトのみ、シード値ランダム
元画像
◆Lineart(ラインアート)
・lineart_realistic = 忠実に線画を抽出する。線の太さが均一。
・lineart_coarse = 少し粗いが特長ある部分が描かれやすい。手描きラフ画の線画抽出用のプリプロセッサーかも。
・lineart_standard (from white bg & black line) = 本来は、線画の画像(白背景に黒い線)から画像生成するが、普通にイラストからイラストも生成できる。濃淡のある抽出線画のため手描きイラスト向き。
・invert (from white bg & black line) = 本来は線画の画像(白背景に黒い線)から画像生成するらしい。写真のネガみたいな色反転処理して画像生成してるみたい?
◆Lineart Anime(ラインアート アニメ)
・lineart_anime = イラストから別のイラストを作る(変化は大きめ)。今回はスカートに柄が描かれたりと、イメージをガラッと変えたい時によい。
・lineart_anime_denoise = イラストから別のイラストを作る。ノイズ除去されるため変化はやや抑えめです。
Lineart と Lineart Anime は、(TensorARTだと)別の Control Net ですが、この記事ではわかりやすくするため、前処理器(プリプロセッサー)の種類と使い方をメインで説明していきます。
迷ったときは「前処理器」で選んでみてください。
【画像の雰囲気を変える(色の塗り替えなど)】
線画抽出がメインで使われると言いましたが、まずはイラストからイラストを生成する使い方を解説します。その方が取っ付きやすいので。
どの前処理器(プリプロセッサー)でも画像生成はできますが、元画像からあまり変えたくない場合は「lineart_realistic」か「lineart_coarse」、
変化を楽しみたい場合は「lineart_anime」「lineart_anime_denoise」辺りがよいかと思います。
《おすすめの前処理器》
◆Lineart
・lineart_realistic = 忠実に線画を抽出する。線の太さが均一。
・lineart_coarse = 少し粗いが、特長ある部分が描かれやすい。
◆Lineart Anime
・lineart_anime = イラストから別のイラストを作る(変化は大きめ)。
・lineart_anime_denoise = イラストから別のイラストを作る(変化はやや抑えめ)
1.変えたい画像を用意する。今回は例としてこちらの女の子の生成イラストを使用します。
2.Text2img タブにします。
今回は画像生成時のモデル(チェックポイント)を設定しています。とりあえず必要最小限のプロンプトを入力しておきましょう。
◆プロンプト 例
best quality, masterpiece,best quality, masterpiece, Ultra detailed, insanely detailed, beautiful,1girl,
◆ネガティブプロンプト 例
EasyNegative,low quality,worst quality,out of focus,nsfw,
3.「Control Net を追加」をタップしてください。
4.Lineart と Lineart Anime がありますが、今回は「Lineart」を使います。Lineartの「使用する」をタップ。
5.「画像の前処理」になっていることを確認したら「前処理器(プリプロセッサー)」の部分をタップします。
6.今回は「lineart_realistic」を選んでみます。
7.「ファイルをドラッグ&ドロップするか、アップロードをクリック」の部分をタップして元画像をアップロードします。
アップロードされると前処理が行われて、隣に黒背景に白線画の画像が現れます。
「確認」をタップしてください。
ワンポイント:AIは人間と違い、黒いキャンバスに白い線で描かれた画像を絵と認識するため白黒反転の画像となります。
8.Control Net に Lineart が追加されました。とりあえず強度は「1」にしておきます。
※下にある「Control Net ステップ」は特に指定がない限りそのままにしておいてください。
9.各設定は以下の通り。必要に応じてサンプリング法などを変更してください。
「生成」をタップします。
10.ぐちゃぐちゃの画像になってしまいました。元画像や線画の抽出具合で上手くいかないことがあります。
Control Net の強度を少しだけ、上げ下げして何度か生成を試してみましょう。
11.今回はControl Netの強度を「0.9」にしたら、良い感じに画像生成できました。
※高画質化はしていません。
12.元画像と比べてみます。基本プロンプト以外、記述していませんが綺麗な絵が生成されました。
これならプロンプトを追加して色を変えたり、好きな背景に変えたりできそうですね。
「lineart_coarse」でも試して見ると、元画像の襟のリボンの柄をきちんと反映しているように感じます。特長のある部分を活かしたいときにはよいかも。
「lineart_anime」「lineart_anime_denoise」では、スカートに柄が描かれたりと、画像のちょっとした要素から変化を与えてくれます。こちらは面白い画像生成ができそうです。
lineart_anime
lineart_anime_denoise
また、モデル(チェックポイント)を変えてみるのも、絵柄の変化があって面白いです。
【イラストから線画を抽出する】
イラストや写真、手描きの絵などから線画(黒背景に白い線)で描かれた画像を作ります。
作ると言っても目的は「線画」なので「前処理で線画抽出したら完了」となります。
線画の画像をダウンロードして、ペイントソフトでお好みの加工を行ってください。
《おすすめの前処理器》
◆Lineart
・lineart_realistic = 忠実に線画を抽出する。線の太さが均一。
ただし、元画像によっては「lineart_coarse」「lineart_anime」「lineart_anime_denoise」のほうが上手くいく場合もあります。
1.元画像を用意します。今回は先ほどと同じ画像を使ってみます。
2.上記と同様の手順で、前処理器を「lineart_realistic」にします。
3.元画像をアップロードして前処理が終わったら、処理画像を一回タップしてください。
4.拡大されるので「ロングタッチでダウンロード」してください。
※下にある「×」ボタンで閉じられる
5.「黒背景に白い線画」の画像がダウンロードできました。
6.ペイントソフトで白黒を反転させて完了となります。
白黒反転の方法は「お使いのペイントソフト名 白黒反転」で検索してみてください。
7.お好みの加工をしてみましょう。
今回は試しに帽子を描き足してみました。
これをそのままペイントソフトで色塗りしてもよいですし、線画の画像はAIで色塗りできるのでプロンプトが上手く反映されるよう意識して描き直したら、また Lineart で着色するとよいでしょう。
変に線が交差したりしてなければ私みたいなヘタクソでもAIがなんとかしてくれます。
・lineart_standard (from white bg & black line) を使って色塗り。※プロンプトは入れていません。
・invert (from white bg & black line)を使って色塗り。※プロンプトは入れていません。
線画から色塗りするやり方は下記手順で行えます。
【線画からイラストを作る】
手描きイラストやカメラで撮ったスケッチなど「線画で描かれた画像」を取り込み、色を塗ります。
先ほどのように、線画を抽出した画像を描き直してから色塗りをすることもできるので、少しでも絵が描ける人にはめちゃくちゃ楽しい機能です。
プロンプトを追加することで、指定した部位に色を塗ったり、背景を描いたりできます。
今回は基礎プロンプトだけで、どれだけ上手く着色ができるか試してみたいと思います。
《おすすめの前処理器》
◆Lineart
・lineart_standard (from white bg & black line) = 線画の画像(白背景に黒い線)から画像生成する。
・invert (from white bg & black line) = 線画の画像(白背景に黒い線)から画像生成する。
1.線画の画像を用意します。先ほど線画抽出してペイントソフトで白黒反転させた画像を使います。
自分で描いた画像でもOKです。スケッチブック等に描いた絵も写真に撮って使うことが出来ます。
2.今度は前処理器を「lineart_standard (from white bg & black line)」にします。
3.元画像(線画)をアップロードして前処理が終わったら、「確認」をタップします。
4.今回は基礎プロンプトのみで生成します。「生成」をタップします。
5.線画から画像生成できました。画像が崩れたらControl Netの強度を調整してみてください。
6.色の指定など一切していないですが、ある程度 綺麗に色塗りできました。
髪の色や服の色、背景の描写などプロンプトを追加することで、描きたい画像に近づけることができます。
また、ペイントソフトで描いた場合や、ペイントソフトの機能で線画抽出した場合、白黒にしても色の濃淡が出てしまう(部分的に灰色や黒になる)ことが多いですが、そんな画像でも Lineart で、さらに線画抽出→色塗りをしてくれるので助かります。
↓
私的には、「lineart で線画を抽出」 →
「ペイントソフトで白黒反転した後、加筆・加工」 →
「lineart_standard (from white bg & black line)&プロンプト追加」で、
そこそこ思い通りの画像が生成できるため、すごいツールだと感じます。
ワンポイント:前処理済み画像の場合は?
TensorART のLineart では、白背景の黒い線画の画像でもそのまま前処理器にぶち込んであげられるので、使う機会は少ないと思いますが、
「黒背景に白い線画」の画像を使いたい場合は「前処理済み画像」に切り替えてアップロードしましょう。
既に「前処理は終わった画像」として進めていく流れになります。
【まとめ】
Lineart はアイディアと使い方次第でかなり画像生成が楽しめる Control Net です。
線画をしっかり出してくれるので「色を変えたい」場合、特に役立ちます。
さらに、ペイントソフトが使えて絵も描ける、または手直しぐらいならできるという方なら、イラスト系の画像生成の表現の幅がグンと広がることは間違いないでしょう。
Lineart は本当にアイディア次第でいろんなことができるので操作に慣れたら是非、いろいろ試してみてくださいね♪
(oゝω・o)ノ
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