「お母さん、助けて!」
電話越しに聞こえるのは、間違いなく愛するわが子の声。しかし、その正体はAIが作り出した「偽物」かもしれません。
今、最新AIテクノロジーを悪用する人間が増えています。
かつては「声が違う」「機械っぽい」という違和感で見抜けましたが、今のAIはわずか3秒の録音データから、本人そっくりの声、話し方、さらには感情まで完璧に再現してしまいます。
視覚も聴覚も欺かれる時代、あなたのスマホに届く「助けて」のサインをどう見抜くべきか?
今回は、古い常識が通用しないAI詐欺の恐ろしい手口と、大切な家族を守るための「今すぐできる5つの対策」をお伝えします。
スポンサーリンク【AIクローンボイス!今、何が起こっているのか?】

従来のオレオレ詐欺は、似た声の人間が演技をするものでした。しかし現在は、「AIによる声のクローン(複製)」を使った詐欺が急増しています。
犯人は、SNS(Instagram、TikTok、YouTubeなど)に投稿されたわずか数秒の動画から、特定の個人の「声の特徴」を抽出します。
それをAIに読み込ませることで、本人の喋り方、息遣い、方言までも完璧に再現した状態で、自由自在に喋らせることができるのです。
「数秒の声で学習し、リアルタイムでなりすます」という手口は、2026年現在、既に現実の脅威として確認されています。
SNSの動画だけでなく、「アンケート調査」や「間違い電話」を装って直接本人に電話をかけ、その返答(もしもし?はい、そうです など)を数秒録音するだけで、その場でクローン音声を作成できてしまいます。
さらに恐ろしいことに、ビデオ通話でさえもAIで顔をリアルタイムに書き換える「ディープフェイク」が悪用され始めています。「顔が見えるから安心」という常識は、もう通用しません。
【「古い常識」が通用しない理由】
なぜ、これまでの警戒方法では不十分なのでしょうか。それは、AIの進化によって「本人の声色と特徴」を、本人と見分けがつかないレベルで模倣できるようになったからです。
参考:
McAfee公式ブログ(英文):人工の詐欺師 – サイバー犯罪者はAI音声クローンを利用して新たな詐欺を仕掛ける
FTC(米国連邦取引委員会)の公式アラート(英文):詐欺師はAIを利用して家族の緊急対策を強化する
この問題は日本でも報じられており、ケータイWatch(AI音声クローンで「家族の声」で詐欺、米国FTCが注意喚起)の記事などでも解説されています。
最近の犯人は、SNSに投稿された動画から声を拾うだけではありません。今、最も警戒すべきは「わずか数秒の盗聴」です。
◆3秒で声を盗まれる!
犯人はまず、役所や銀行、あるいは「間違い電話」を装ってあなたに電話をかけます。あなたが発した「もしもし?」「はい、どちら様ですか?」というわずか3~5秒の音声があれば、AIはその場であなたの声の質、癖、イントネーションを完璧に学習してしまいます。
◆リアルタイム・ボイスチェンジャー
盗んだ声は、即座に「AIボイスチェンジャー」にセットされます。犯人がマイクに向かって喋ると、その瞬間にあなたの声へと変換され、相手に届きます。つまり、犯人はあなたになりすましたまま、リアルタイムで自由に会話ができてしまうのです。
◆情報の精度
SNSなどから得た「最近旅行に行った」「新しい仕事に就いた」といった以前から使われてきた「個人情報」を会話に混ぜ、信憑性を高めてきます。
「自分はSNSをやっていないから大丈夫」という油断は、もうできません。残念ながら「知らない番号からの電話に安易に答えること自体が、声を盗まれるリスクになる」という嫌な世の中になってしまっているのです。
【今すぐ実践すべき5つの対処法】
「声や映像は偽物である可能性がある」という前提に立ち、以下の対策を家族で共有しましょう。
① 「合言葉」を決めておく
合言葉は本人かどうかを確認する、原始的ではありますが強力な手段です。
予め決めておくルール:「家族しか知らないペットの名前」や「中学時代の担任の先生の名前」などを合言葉にする。
例:「大変なのはわかった。じゃあ、うちで最初に飼った猫の名前は何?」と聞き、答えられなければ即遮断。慌ててわからなくなるふりをするため、質問は複数用意しておくべきです。3つもあればどれかは答えられるはずです。
◆すぐに使える!絶対にAIには答えられない、家族なら思い出せる質問集!
「昨日の夕飯で一緒に食べたもの、何だっけ?」
「家の冷蔵庫のドア、今何が貼ってある?」(または「マグネットは何の形?」)
「お父さんがいつも座るイス、何色?」
「(わざと間違えて)先週送ったメロン、美味しかった?」(送っていないものを聞いた時の反応を見る)
「玄関の下駄箱の上に置いてある置物、何だっけ?」
「あなたの部屋の押し入れ(またはクローゼット)、今何が入ってるか覚えてる?」
「お母さんが、あなたの誕生日にいっつも作ってた料理、何だっけ?」
「(あえて間違えて)こないだ送った『ふるさと納税のホタテ』、もう食べた?」
「一番最初に乗った自転車(または車)、何色だったか覚えてる?」
「去年、一緒に帰省したときに立ち寄ったお店、どこのお店だった?」
「念のため、確認させて。うちのトイレのスリッパ、今何色?……え、思い出せない? じゃあ、昨日お母さんがLINEした晩ごはんの写真、何だった?」
このように、ネットにも載っていない、ごく最近の「家の中の風景」を質問するのが最も効果的です。
◆「新しく決める」のが面倒なら「昨日のこと」を聞け!
新しい合言葉をわざわざ作らなくても、「昨日の夜、何の話をしたっけ?」「今朝、LINEで何て送った?」と聞くだけで十分です。
② 一度切り、本人の「登録番号」へかけ直す
犯人は「携帯が壊れた」「会社支給の電話だ」と言って、知らない番号からかけてきます。
予め決めておくルール:どんなに急かされても、一旦電話を切り、元々登録してある本人の番号や、本人のSNSのダイレクトメッセージで連絡を取る。
例:「ごめん、今手が離せないから3分後にこっちからかけ直すね」と言って切り、登録済みの番号へ発信する。「切らないで!」と急かされるかもしれないので、電話は繋げておいて固定電話など他の電話機で発信するのもよい方法です。
③ 「知らない番号」には名乗らず、即切りする
AIはあなたの声をわずか数秒録音するだけで、そのコピーを作成します。「間違い電話」や「アンケート」だと思って丁寧に応対すること自体が、実はリスクになります。
予め決めておくルール:
知らない番号は無視する。本当に大切な用件なら、留守番電話にメッセージを残すはずです。
登録していない知らない番号からかかってきたら、まずは無言を貫き、「自分から先に名乗らない」、「相手が喋るまでこちらからは一切喋らない」そして「少しでも不審ならすぐに切る」を徹底します。電話相手が詐欺師なら相手も喋りたくないはずです。
不審な気配(機械的な呼び出し音や沈黙、不審な機械音声アンケートなど)がしたらすぐに切ります。
どうしても話す時は「はい」や「もしもし」の一言に留め、相手が「〇〇さんのお宅ですか?」と聞いても「どちら様ですか?」と問い返すまでにしてください。
※注意:「はい」「もしもし」の数秒だけでもAIの学習素材になります。相手が名乗らなかったり、不審に感じた瞬間に、迷わず電話を切ることが最大の防御です。
例:知らない番号から着信があり、出たら「市役所のアンケートです」と言われた。
→ 「今、忙しいので」と一言だけ発して、すぐに電話を切る。
長々と断りの理由を喋ってしまうと、その音声データがAIに学習され、数分後には「あなたの声」で家族に詐欺電話がかかっていくことになります。
【スマホ初心者のための設定テクニック】
Androidスマホには「番号非通知の着信拒否」や、Googleが提供する「発信者番号からの迷惑電話フィルタ」機能があります。これらを「オン」に設定するだけで、危険な電話の多くを自動で遮断できます。
④ SNSの公開範囲を見直す
AIの「エサ」となる声や顔のデータを、犯人に与えないことが重要です。
予め決めておくルール:自分の声が入った動画や、家族の顔がはっきり映った投稿の公開範囲を「友達のみ」に制限する。特に家族構成がわかる内容はNG!
例:可能ならSNSのプライバシー設定を確認し、見ず知らずの人が動画をダウンロードできないようにする。
⑤ 支払い方法に「違和感」を持つ
AIを駆使する高度な犯人でも、最終的な目的は「追跡困難な形でお金を受け取ること」です。
予め決めておくルール:「コンビニで電子マネー(Apple ギフトカードなど)を買って、裏面の番号を写真で送れ」「ビットコインなどの暗号資産で送金しろ」と言われたら、その瞬間に100%詐欺だと断定してください。
◆なぜ「ギフトカード」なのか?(重要!):
犯人が銀行振込ではなくカードを指定するのは、一度番号を教えてしまうと、一瞬で決済に使われ、現金と同じく二度と取り戻せないからです。警察や発行会社でも止めることはほぼ不可能です。
「会社の金を使い込んだ。示談金としてApple ギフトカードを50万円分、数箇所のコンビニを回って10万円ずつ買ってきて。番号をLINEで送ってくれれば助かる……。」
どれほど切実な声で、どれほど深刻な状況を訴えられても、「ギフトカードで支払え」と言われた時点で、それは家族ではなく犯罪者である可能性が極めて高いです!
【チェックポイント】
コンビニのレジに向かう前に、一度立ち止まってください。公共料金や裁判の費用、示談金をギフトカードで支払う公的な仕組みは、この世に一つも存在しません。
もし、「今すぐコンビニでApple ギフトカードを買ってきて」と言われたら、内容がどれだけ深刻でも手を止めて警察や周囲に相談しましょう。
【まとめ】

今日、あなたができる「最大の防御」
テクノロジーがどれほど進化しても、家族の絆までをAIが完全にシミュレートすることはできません。最新の詐欺を知り、あらかじめ「わが家のルール」を決めておく。それだけで、被害は確実に防げます。
最初の一歩として、ご家族のLINEグループなどでこのように送ってみるのはいかがでしょうか?
「最近、AIで本人の声を完璧にマネする詐欺が増えてるらしいよ。万が一の時のために、私たちだけの『合言葉』を決めておこう!」
その一言が、あなたの大切な家族を守る「最大の防御」になるはずです。
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